第4章 浅葱色の哀愁(2)
「西軍の方は酷い有様だった
とても戦えるような状況じゃない…」
つまり、時間遡行軍は勝敗をひっくり返すのではなく、決着の時期を大きくずらそうとしているようだ
「じゃあ僕たちのやることは決まりましたね」
堀川の言葉に皆が頷き、駆け出した
そして西軍の本陣の近くの、目立たないところにある林に身を隠す
「時間遡行軍はきっとまだこの辺りに潜んでいるはずですから、殲滅しましょう」
「そうだね…
僕達が奴らを倒せば、あとは西軍が自分たちで立て直し、元の歴史通りの然るべき時に決着がつくだろう…」
「小夜さんの言う通りです
この辺りに遡行軍がいるはずなんですけど……ってやっぱりね」
堀川の目が捉えたのは、探していた遡行軍の姿だ
「すご…なんでここにいるって分かったわけ?」
「前にも言ったでしょう、加州さん
僕、こう見えても鼻が効くんです」
「えぇ!? あれマジだったの?」
「って言うのは嘘で
この辺りの地形は出陣前に頭に入れてありますから、奴らが隠れられるのはここかなって」
軽くもてあそばれたようで気にくわないけど、その分析の力には感心した
「敵と戦地の情報は知っておかないとね
知ってますか? 加州さん
土方さんは敵を理解したからこそ、あの時代に洋式装備を取り入れようとしたんですよ」