第4章 浅葱色の哀愁(2)
「…時代に乗り遅れてたわけじゃないってことね」
「さて、隊長さんよ
敵の数はざっと数えて十を超えているぞ
どうするんだ?」
鶴丸さんが敵の姿を目で追いながら問いかける
西軍という大きな軍隊を追い詰めただけあって、数は多いしきっと今までの戦いよりも手練れだ
「折角なら奇襲をしかけたいよな
戦にも驚きがなければいかん」
「奇襲か! ほりゃあ胸が踊るのぉ!」
「お二人とも、戦は遊びじゃないんですよ」
堀川が二人をなだめている間に、小夜はじっと敵を睨んでいる
「小夜はどう思う?」
「…ここの地形、林が邪魔をしているから、逃げる道があの大きな一本しかない
あの道を塞げば全て殺せるんじゃないかな…」
「なるほどね…殺すって言い方は怖いけど」
「その地形をよう使えんかの?」
小夜の考えを聞いていた三人も会話に戻ってきた
「小夜坊の案もいいがな、こちらが追い詰められた時も逃げられないということだぜ」
「それは…避けたい…」
奇襲、逃げ道は一本…何か策はないか
「逃げるのは敵じゃなくても…」
「あ、加州さんも思いつきましたか?」
堀川と俺はどうやら同じことを考えたらしい
他の三人にも共有して、すぐさま実行に移すことにした