第4章 浅葱色の哀愁(2)
草を揺らしながら出てきたのは、装いが乱れた兵士が三人
武具を見る限りだと下っ端に属するようで、息を切らしながら会話をしている
「何だったんだあいつらは!?」
「敵にあんな恐ろしい奴らがいるとは聞いてないぞ
諜報部隊も役に立たんな…」
聞こえてきたその会話に、俺たちは顔を見合わせた
「堀川、あいつらが話してるのって…」
「もしかしたら遡行軍のことかもしれないですね」
「よし、俺が話を聞いてこよう
君らの服装では驚かせてしまうだろうからな」
鶴丸さんはそう言うと俺達から少し離れた場所へ静かに移動し、そこから立ち上がり兵士達に近づいた
「な、なんだお前は!? 奴らの仲間か!」
「ああ、いやいや、俺も君達と同じく襲撃されたクチさ
一体なんだったんだろうな…俺は逃げるのに必死でよくわからなかったから、教えてほしい
俺が本陣へ情報を届けよう」
「なんだ…そうだったのか」
物の見事に彼らの中に馴染んでしまった
あの調子なら、有力な情報を手に入れてくれるかもしれない
「すごいや鶴丸さん…」
「俺たちは洋服だし、あの人に行ってもらって正解だったかもね」
隣にしゃがむ堀川の動きやすそうな戦闘服は、薄く縦縞の模様が入っている洋風なものだ
そしてその背面には左三つ巴の紋