第4章 浅葱色の哀愁(2)
「あと、加州さん
怪我が治ったばかりですから、無理はしないように
主さんからも言われてますよね?」
「はいはい、分かってるよ
また怪我して監禁されるのはごめんだからね」
それに、主が心配するところも、もう見たくないし
「けんど、こがな戦地の真ん中で何から始めれば…」
「そうですね…まずは情報を集めて敵の動きを判断しないと」
堀川が持ってきた史料から地図を取り出し、地面に広げる
みんなでそれを囲むように見下ろし、小夜の小さな指がある地点に落ちた
「僕達がいるのはこの辺り…丁度両軍の間にいくはずだと主は言っていた」
それに続いて鶴丸さんの指が地図の上を滑らかに滑る
「関ヶ原の戦いは東軍が勝利するものだ
その歴史を単純に覆すとなれば西軍を勝利させればいいことになるな」
「だとすれば…時間遡行軍は西軍を助けるか、東軍を攻撃するんだね…」
「今の戦況を知りたいですね…
小夜さんと陸奥守さんは、両軍の偵察に行ってきてもらってもいいですか?」
「ああ」
「まかせちょけ!」
二人が正反対の方向に走り去る
その姿が見えなくなる頃に、近くの茂みからガサガサと草を揺らす音が聞こえた
「…なんでしょうか」
「とりあえず伏せよう
この辺りの草は背が高いから隠れられるでしょ」