第1章 出逢い
こんのすけが出て、しばらく経った本丸には再び静寂が訪れた
一人きりの部屋で、さっきの会話が頭の中で反復する
私のせいで、清光の記憶は欠けてしまった?
私のせいで、清光の刀身はぼろぼろになってしまった?
私のせいで、清光は刀解____
「主」
「っ!!」
部屋の入り口を見ると、清光がきょとんとした顔で立っていた
「…どうしたの? 顔、真っ青だけど」
「う、ううん、なんでもないの、ごめんね
あっ、湯浴み終わったんだ?」
「うん」
すると突然清光は腕を広げ、その場でクルッと一周回った
その勢いでロングコートの裾がひらりとなびいた
「あ…服…」
「どう…? 似合ってる?」
そう言って、裾と襟巻きを持ち上げた
清光の全身を包む漆黒のコート、シャツ、ズボンと真紅の襟巻き
洋装だけど少しレトロな雰囲気も感じるその服装は、幕末に活躍したであろう清光にとても似合っている
「似合ってるよ、とっても」
「ほんと?」
「うん、あとは…」
「ん…? なに?」
清光を手招きし、私の前に背中を向けて座らせる
そしてその黒髪に手を伸ばす
「やっぱり…髪、ちゃんと拭いてないでしょ?」
「え? あぁ…
早く主に見てもらいたくて」
「ふふっ、でもちゃんと乾かさないとね
拭いてあげるから手拭い貸して?」
「ありがと…」