• テキストサイズ

【BL】創作跡地。

第2章 理想の夢を見る方法。



 自宅の部屋に篭り例の本を読んだ。子供騙しのような掴みの文章。ところどころ日本語も怪しく信憑性がまるでない。こんな本の何に惹かれたのか。呆れにも似た笑みが零れる。ぱらぱらと流すようにページを捲っていると、例の、跡が付いたページに到達した。『夢を見る準備をしよう!』そんな謳い文句で始まるページには事細かに夢を見る準備が書き連ねてあった。折角持ってきたからと書いてある通りにやってみようと準備を進めてみる。


「えーっと、まずは紙を書いてある大きさに切る、と」


 紙とハサミを取り出し、わざわざ定規で測りながら紙を切る。細長くなった紙に、次は強く念じながら見たい夢の内容を書く。見たい夢の内容。頭の中で書かれた文字を反芻した。そういえば自分の見たい夢ってなんだろう。持っていたペンを一旦机の上に置いて腕を組む。目を閉じて真剣に考えてみて、自分が一番見たい夢が浮かんだ。思い付いて悲しくなる。夢にそれを求めていいんだろうか。でも、もしそんな夢が見られるなら。淡い期待を抱いて、紙にそれを書いた。


「…あとは紙に…体液をしみ込ませる?それか体の一部を貼り付ける?」


 一瞬頭の中に呪術的な考えが過る。でも、ただ枕の下に置く、なんてものよりは信憑性はあるのかも知れない。自分のものであればなんでもいいらしいので取り敢えず髪を一本抜いてセロハンテープで紙に貼り付けた。あとはこれを枕元に置いて寝ればいいらしい。
 完成したものを改めて見て、なんてくだらないことをしているのかと溜息が漏れた。こんなことをするくらいなら少しでも勉強をすれば良かった。紙を枕元に投げるように置くと机の上の本をかばんにしまって今度は教科書を取り出した。


 一通り勉強をした後、リビングに置かれた料理をレンジで温めた。両親はいつも通り今日も居らず、美味しくもない料理を食べる。悲しいほどに慣れた味だ。夕ご飯を食べてお風呂に入り、再び勉強をする。時計の針が11時を指したのを確認してから歯を磨きベッドに入った。
/ 17ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp