第4章 生と死の狭間。
少年の指がまっすぐにこちらを差す。心臓が鼓動し、世界が大きく歪んだ。それを察した少年がパチンと指を鳴らすと、ぐねぐねと元の形を忘れたかのように揺れる世界はその音が響くと同時に一瞬にして元に戻った。何が起きたのか、理解できない。
「見たところツキもない…イキモノの無断侵入はできないはずなんだけど」
ぶつぶつと独り言を重ねる少年から逃げようと背を向けると届かないくらいには離れていたはずなのに肩を掴まれた。大げさなまでに肩が跳ねるも少年はそれを気にした様子はない。手を離そうにも、どれだけ力を入れてもその手は離れなかった。
「お前、どうやって入った?許可証をもらってる…わけないだろうし、誰と来た?」
「ゆ、夢のはずなんだ、これは夢で、全部思い通りに動いて、でも、でもあれ、なんで、」
「なにを勘違いしてるのか知らないけど、ここはシニモノの世界だ」
「し、シニモノ…?」
「そう。…イキモノのお前は来てはいけないところなんだけど」
おわり