第5章 肆
夏目「小野さんっ!」
妖怪「ククク……この小娘、人の子ながらに、多少なりとも力を持つか……うまそうだ……」
夏目「何言って……っ! 小野さんを離せ!」
妖怪「そういうわけにはいかない……この小娘は貴様ほどではないがうまそうだ……小僧、さっさと友人帳を渡さねば、この小娘共々貴様も食うぞ」
ギリギリと、締め付けられる……
痛みと苦しさで、意識が朦朧としてきた、その時……
ニャンコ先生「フン、生憎友人帳は、こいつの死後私が貰い受けることになっている。大人しく……去れーっ!」
また、猫ちゃんが喋り出したな、なんて薄ぼんやりと思ったら、猫ちゃんの身体が光って……
妖怪「ぐぅあぁ……っ」
さっきまで、すごく痛くて、苦しかったのに、いきなりそれがなくなった。
夏目「小野さんっ!」
体は自由になったけれど、立っていられなくて、そのまま倒れ込みそうになったところを、夏目くんに支えてもらう。
「な、つめ、くん……」
夏目「大丈夫、小野さん?」
「ん……身体、痛いけど……それだけ……」