第4章 参
ズザッ……
小さい、けれど確かに耳に届いた、靴底とコンクリートが擦れる独特の音。
夏目「え……?」
ニャンコ先生「む……」
夏目「な、小野さん!」
私と目が合うと、サッと青ざめて、焦りだした夏目くん。
夏目「ち、違うんだ! その、この猫はうちで飼ってる猫なんだけど、ついてきちゃったみたいで、その……」
猫ちゃんとの会話を、必死に隠そうとしているみたい。別に気にしないのに。寧ろ、猫好きの私としては、お喋りできる猫ちゃんなんて、もう、可愛いとかそういう領域を通り越して、それはもう、全身全霊で愛したいのに。
「クスッ。夏目くんちの猫ちゃんって、お喋りできたんだね。いいなぁ……毎日楽しいね」
夏目「えっ……」
ひどく驚いた様子の夏目くん。
夏目「あの、小野さんは、気味悪いとか思わないのか?」
「どうして? おしゃべりできるなんて、すごいなーとは思うけど、気味悪くなんかないよ。」
そりゃあ、一般的に見たら、オカルトの領域かもしれないけど、猫大好きな私にとっては、大して気にするほどのことでもない。寧ろ、おしゃべりしてみたい……