第4章 参
そうして迎えた当日。昨日は柄にもなく、楽しみで眠れなかったな。小学生の遠足じゃないんだから……って、自分に苦笑しつつ、荷物をまとめて家を出る。みんなとは、駅で待ち合わせ。
駅に向かって歩いていると、なんだか言い合いみたいな声が聞こえてくる……一体何?
声を頼りに、探してみる。すると……
「だいたい、なんでニャンコがテニスしようなんて思うんだ!」
「ニャンコだと?!」
「どっからどう見たってニャンコだろうが!」
「私はニャンコではない! 何度も言わすな、阿呆っ!だいたいお前は、1人で出かけると大抵妖ものと遭遇するだろうが! この前のてすとの前だって勝手に名前を返しおって! 用心棒の私がいてなんの問題がある!?」
……なんなの……あれ……
夏目くん……だよね……?
それと、彼の家で飼っている猫ちゃん……
え、なんで猫ちゃん喋ってるの?
目の前の光景に、頭の中がプチパニック状態。だから、自分の足が無意識のうちに一歩あとずさったことに気がつかなかった……地面と靴底の擦れる音がするまでは。