第4章 危機感 ☆
「それじゃ、手入れ周りの続きでもしようかな」
立ち上がって軽くストレッチのようなものをする。
ゴキッとかバキッと、どこからか音が聞こえてきたが気にしないでおこう。骨があるんだからたまには軋むよね。
そう思いながら、改めてみんなの名前と顔を確認するために持っていたタブレットを……
「あ、あれタブレットが……」
石切丸「これのことかな?」
「あぁ、それです。それくださ……石切丸さん?」
受け取ろうと手を伸ばすが石切丸さんはタブレットを後ろに隠してしまう。
石切丸「主……私だって男だよ。ここには私と君しかいない」
「そ、そうですね……?」
石切丸「わかってないようだね。こういうことされたら君は……どうするんだい?」
軽い力でトン、と肩を押されるとバランスを崩して後ろに尻餅をついてしまうが気づけば背中に畳、そして前には石切丸さんと天井。
「…………!?」
石切丸「中途半端なところで止めてしまったようだからね。ここ、疼いてるんじゃないかと思って……もっと良く、なりたくないかい?」
石切丸さんは私の下腹部を撫でて耳元で囁いてきた。
な、なにこれ。
三日月さんに小狐丸さん……は、発情期とかそういうのなんだろうか。
女は私一人なわけで……だ、だけど私は昨日ここに来たばかりだし、そういうことの対象になるとは思ってなかったわけで……
「わ、私はそういうのは求めてないというか……」
石切丸「本当にそうかな……?あの場には君たちだけじゃなくて他の刀もいた。大声で助けを求めれば誰かしら助けにきてくれたはず。だけど君はそれをしなかった」
「それは……」
石切丸「心のどこかではもっとされたいって、求めていたからじゃないのかな?」
石切丸さんの言うことは間違ってないのかもしれない。
誰からも必要とされなかった私は求められれば拒むことができない、したくない、のだと思う。