第50章 新しい仲間
普通の審神者なら何の問題もなく顕現させるのだろうが、私の場合は元々が普通ではないので力が強すぎるあまり神ですらないものを呼び出す可能性もないとは言えない。
さすがにそれはないだろうと思いたいがこの世には黒魔術とか降霊術などがあるわけなので、万が一にも変なものが降りてきたときは全力で逃げようと思う。
あの人から逃げるのも生きるために大切だと教わったし、逃げても許されるはずだ……多分。
普通に成功したなら私の初鍛刀として仲良くするつもりではいるが複雑な思いもあった。
覚悟を決めたからといってこのもやもやしたものが消えるわけではないのだ。
完全に警戒を解かれたわけではない状態での鍛刀。
自分達が懐かないからって自分の味方を作ったか。
自分達を大切にすると言いながら所詮は口だけか、なんて思われでもしたら溝がまた深まる。かといって鍛刀しないのも審神者としてどうかとも思ってしまう。
「好意的な子も増えてきたけど……同じ子が顕現されたら気まずいもんね」
例えるなら実子と連れ子みたいなことになりそうだ。
私は血の繋がりがなくとも同じ屋根の下に住めばみんな家族、くらいに思っているが彼らの心までは把握できない。
もし、同じ子が顕現されたら表面上では気にしてないように見えても新しい「彼」がいるなら自分なんて……と考える刀がいたとしても不思議ではない。そう考えたら鍛刀をするのも簡単な話ではないのだ。
このままどうしよう、と悩んでいても仕方ないのでなるようになることを信じて鍛刀部屋らしき場所に向かうと、そこには小さな妖精のような子が敬礼しているのが見えて、もしかしてこの子達の家として使われてるのかなと考えたら納得してしまいそうになる。
「うーん……いや、今は部屋のことはいいや、先に鍛刀してみないとね」
鍛刀には確か、玉鋼、木炭、冷却水、砥石を使うんだっけ。数によって短刀だったり打刀だったりと降りてくる付喪神様が異なるとかなんとか聞いたけど。
その辺りの記憶が曖昧すぎて、全然思い出せはしないがなんとかなるだろう。