第49章 好きだよ
燭台切「ん…っ」
唇を重ねられて驚きはしたが不思議と嫌な感じはせず優しく、啄むような口づけに受け入れてしまいそうにもなった。
だがここで流されてはいけないと、すぐに燭台切さんから離れると自分の唇に触れた。
初めてでもないし、キスくらいなんてこと…と言えるほど慣れてはおらず鼓動が早くなるのを落ち着かせるように何度か深呼吸を繰り返した。
こんなところで発情なんてしたらそれこそ危ない……燭台切さんの身が。
「よ、よし……燭台切さん、大丈夫ですかー?寝惚けてますか?寝惚けてますよねー?」
何事もなかったかのように、ぺちぺちと燭台切さんの頬を叩くようにすると痛みはないだろうが少し不快と言わんばかりに顔を歪めてしまう姿がなんとも新鮮で違う意味でドキドキしてしまう。
いつも優しい笑顔で笑いかけてくれる人の新しい一面を見れるなんて…嬉しいものだ。
「ほらほら早く起きないと長谷部がきちゃいますよー?こんなところ見られたら誤解されますよー?」
燭台切「ん……い、いよ…君となら特別な関係って思われても…」
イケメンの寝起きって…エロいですね。
眠そうにこちらを見つめながら笑う燭台切さんのセクシーさといったら……いや、いまはそれどころではない。
「冗談言ってないで早く起き…」
燭台切「好きだよ」
「え……」
「君が好きだ…」
告げられた言葉に驚きながらも寝起きで頭がどうにかなってしまったのかと冷静に考えながら一瞬ときめきはしたも、私は…聞き流すことにした。
「お、お腹空きませんか?空きましたよね?」
燭台切「……好きって言われるのは迷惑?」
身を起こして私を見つめるその瞳はいつも通り優しいもので少し、困ってしまう。