第49章 好きだよ
長谷部「ですがっ……」
簡単には諦めないか……。
主命の他に効果ありそうなのは……知らないな。
でも、一つだけここを離れるしかない魔法の言葉があったはずだ。
うまくいくかはわからないが言うだけからタダなので…。
「……お、お腹」
長谷部「え?」
「お腹が空いて力が出ないから誰か朝食をここまで運んでくれる頼りがいのある刀剣男士がいたらなー」
長谷部「っ!わかりましたすぐお持ちいたします!」
意外と簡単だった。
でも、そこまでお腹は空いてなくても嘘は言ってないからね。
さて、長谷部が来る前にやれることはやろうか。
そして私は燭台切さんの眠るそばに座り、どう起こしたものかと悩むことにした。普通に起きろー!って大声出すのでもいいし身体を揺するのでもいいし……ただ美形を起こすっていうのが罪悪感的なものを感じるから起こしづらいだけなんですよね。
大声を出せるほどまだ元気でもなかったので、とりあえず揺することに決めた。
「燭台切さーん……朝ですよー…?」
刀剣男士って警戒心が強いというか、気配に敏感だと思っていたのですぐ起きるものと思っていたのに燭台切さんは無防備にもすやすやと眠っている。
可愛い……じゃなかった。
長谷部が来る前に何とかしないと遠ざけた意味がなくなる。
そう思い再度身体を揺さぶりながら燭台切さんの名を呼ぶ。
燭台切「ん……」
「あ、起きましたか……?すいません起こしてしまって」
ぼんやりとした目でこちらを見つめる瞳が何だか可愛くてドキッとしてしまう。
美形ってだけでなんでも許してしまいそうになりますね。
燭台切「……なつみちゃん、おはよ…」
「おはようございます。早速なのですが後程ここに……あ、あのっ…んむっ!?」
ふにゃりとした可愛らしい笑顔で笑いかけてくれた燭台切さんの可愛さといったら百点満点花丸の証を与えたくなるほどなのですがそんなことよりも、寝惚けているのか私の頬に触れてきたかと思うと気づけば唇を重ねられていた。
え、ちょ……え、えぇ!?