第48章 甘えられる人
燭台切side
燭台切「えっ…ちょ!なつみちゃん!」
熱さで限界が来てしまったのか苦しそうにする彼女に自分は何をやっているんだと惚れ薬といっていたものを飲ませたことに後悔した。
本当に惚れ薬かもわからないものを飲ませてしまうなんて……
燭台切「ごめんね……」
ゆっくりと抱き上げると小さく声を漏らす彼女に大丈夫なのだろうかと心配になった。
なぜ、この子は自分の事よりも他人を優先するのだろうか。
自分の幸せのために僕らを幸せにしようとした、ってこの子は言っていたけど自分の事より僕らを心配してちゃ幸せになんてなれないのにね。
燭台切「本当に変な子…」
乱「あれ、燭台切さんここで何してるの?」
背後から声をかけられ振り返るとそこには乱ちゃんがいた。
燭台切「乱ちゃんこそどうしたんだい?」
乱「前まで僕の事、乱くんって呼んでたのに呼び方変わったんだね」
そうだったかな…。
乱ちゃんは嬉しそうにしながらも僕が抱えている人を見て驚いたように目を見開く。
乱「な、なんで主さんが…まさか、燭台切さん主さんにーーなこととかしたの?」
燭台切「し、してないよ!」
乱「本当に…?」
本当に何もしていないのに疑われるなんて心外だな…。
無理やり口吸いはしたけど。
燭台切「本当になにもしてません。僕は主を部屋に送り届けるけど乱ちゃんも早く部屋に戻るんだよ」
乱「はーい……ねぇ、燭台切さん」
燭台切「ん?」
乱「主さんのこと大事にしてあげてね。その人、結構さみしがり屋で弱い人だから…」
弱い人、か。
燭台切「……うん、そうだね。大事にするよ…おやすみ」
乱「おやすみなさい」
乱ちゃんと別れて主の部屋に向かう。
君は強く見せようとしているけど、無理しなくてもいいのにね。
君のそばには僕らがいるのになんで強がるのかな。
弱くなって甘えても僕たちは拒まないのに……