第48章 甘えられる人
燭台切「よいしょ……主ってこんな布団に寝てたんだ…いつも畳んでるから気づかなかったよ」
主を部屋に連れていくと、布団は敷いたままだったのでその上に寝かせるが……布団の綿がもうダメになっているのか僕らが使っているものとは違い敷き布団だというのに薄く思えた。
これ、畳の上で寝ているのと変わらないんじゃないかな……。
買い物に行くときにお金の話をすると目をそらされることが多かったが布団も買えないほどだったなんて。
でも、僕らのものを買うのには躊躇いがないんだよね。
燭台切「…もっと自分を大切にしなきゃダメだよ」
優しく髪を撫でると先程まで苦しそうだったが今では落ち着いて小さな寝息をたてて眠っている。
こうしてみているとまるで妹のように思えてくるけど僕は彼女に……恋慕に近い情を抱いている。
前の主との違いもあって彼女が可愛らしく見えてしまっているだけかも,なんて考えたことはあったがどうやら違うようで彼女の姿を見るだけでほっとしてしまうし声を聞いては甘やかしたくなってしまう。
そして名を呼ばれたら……
燭台切「……君は、石切丸さんが好きなのかな」
石切丸さんの話をするだけで顔を真っ赤にして困ったように反応して好きとかではないと否定はしているけど実際はどうなんだろう。
燭台切「……もし、君の瞳に僕だけを写してくれたならよかったのに」
「ん…っ…?」
燭台切「あ、ごめん起こしちゃった?」
一人言をそばで聞かされていたら、そりゃあ起きるよね。
主はぼんやりとした瞳で僕を見たあと恥ずかしそうに目を伏せる。
どうしよう。
なんか、可愛い。
主と一緒にいたいが、こんな時間に男と女がいたら良くないし僕は主に疲れを癒してもらいたいので早々にこの場を去ろうと立ち上がろうとすると服をきゅっと引かれた気がして振り返る。
燭台切「どうしたの?」
「……燭台切様ぁ」
…………!?