第48章 甘えられる人
「んんッ…ふ…ぁ…っ!」
ごくりと唾液と共に飲み込んでしまったものに一瞬慌てそうにもなったが、飲み込んだものが何なのかわかっているから慌てることはないと落ち着いた。
長々と唇を重ねられ力が抜けそうになってこれはヤバイと思ったところで残っていた力で燭台切さんを押せば離す気でいたのか簡単に離れることができた。
「っ……飲ませましたね?」
燭台切「なんのことかな?」
「私がわからないとでも…?口いっぱいに広がる甘い味……都合よくジュースなんて持ち歩いてないですし、液体の何かを考えるなら先ほどあげたばかりの惚れ薬という名の興奮剤。それしかないでしょう」
燭台切「まあ、飲ませちゃったね?」
「なんで飲ませるんですかぁッ…」
燭台切「こうでもしないと君はすぐ無理をするからね。惚れ薬でもなんでも君を休ませる効果があるかもしれないものを使ったまでだよ」
それで休むどころか永眠したらどうしてくれる。
下手したら毒かもしれないし、それ以外の効果のある薬かもしれない。
そんな不安要素盛り沢山と言わんばかりの液体を仮にも主に飲ませるなんて燭台切さんらしくないと感じてしまう。
「ま、まぁ惚れ薬なんて鼓動が早くなってそれを恋と勘違いするだけの薬で、そのことがわかっていたら意味なんてないっ…ですから」
強がっていても即効性なために早速効果が表れると不安になってしまう。これから自分がどうなるのかわからない不安。
先ほどよりも身体がぽかぽかとしてくると、下唇を噛んで気を紛らわそうとした。
これくらい、体質で慣れているからなんてことはない。
ない、はずなんだけど……
「これずるい……ッ」
くらくらする。
体質と何が違うのかと言われたらこれだと言える違いはないだろう。
熱くて、頭が痛くて…目の前が霞んで見える。
これ、惚れ薬とか興奮剤じゃなくて毒なのではと思えてくるほどだ。
薬研くんだから大丈夫だとは思ったけど必ず成功しているとも限らない。
でも本当に毒を作ってしまったなら……