第48章 甘えられる人

「長谷部はすごいもの。私ができないことをたくさんして…私の負担を減らしてくれる…とっても頼れる人だから今はちゃんと休んで欲しいの」


長谷部「わかりました。主が俺のことを大事にしたいと仰るのなら甘えさせていただきます…ただ、俺の代わりというのがそいつなのは納得できませんが」


燭台切「長谷部くん、ひどいこというね」


「あはは……」


どうやら納得してくれたようなので一安心。
これで長谷部には休んでもらって私も頑張って審神者の仕事をしてそれで……


燭台切「……それじゃ、僕たちやることがあるからまたね長谷部くん」


「え……ぁ、燭台切さ……ま、またね長谷部」


行くよ、と背中を押されて驚くが長谷部にふにゃっとぎこちなく笑いながら小さく手を振ると押されるがままに歩く。

やること…あ、部屋に向かうって言ってたっけ。
急がないと入れないのかな……？

燭台切さんは曲がり角で立ち止まると私の前に来て、ぽんっと頭に手を乗せた。

私の頭は手置きではない。


燭台切「主、無理してるでしょ」


「は、はい…？なんですかいきなり」


燭台切「今にも泣きそうな顔しながら笑ってるよ」


泣きそうで、笑ってる？
なにそれ……

自分の顔に触れるが鏡がないことには自分がどんな顔をしているかわからない。

おかしいな、表情が崩れるほど疲れている訳じゃないのに。
まだまだ頑張れる…偽れるのに…？


「燭台切さん、今日は……自分の部屋に戻ります。甘やかしてくださろうとしてくださってとても感謝してますが…大丈夫ですので」


何してるんだろう。
彼らに甘えようとするだなんて私らしくない…私は審神者で彼らを導かなきゃいけないのだ。

私の心の疲労なんてどうでもいい。
頑張らないと、頑張って役目をこなさないとまたあの場所に……


燭台切「先に謝っておくよ…ごめんねなつみちゃん」


「な…っ…ﾝﾝッ！」


顎を掴まれ上を向かされると感じた唇の熱と口内に広がる甘ったるいなにか。

反射的に吐き出そうとしたがグッと腰を引かれ後頭部を押さえられると無遠慮に入ってくる舌にゾクッとし、押し出そうとすればその舌を捉えられ絡ませられると顔を歪めた。