第48章 甘えられる人
「……ごめんなさい。近侍を変えたのは本当なの…私が頼りないから長谷部にお仕事を押し付けるようなことをしたせいで長谷部に苦労をかけてしまって…」
長谷部「主……俺は大丈夫です!まだまだやれます!」
まだ、やれる……。
長谷部の言葉に私も限界なんて考えずにまだやれる、と無理をしているんだよねと自覚しながらも長谷部を見て小さく微笑む。
「長谷部、ありがとう。でもね……さすがに書類に謎の生物を落書きしてしまうほど疲れてる長谷部にこれ以上苦労をかけるわけにはいかないの!」
燭台切「長谷部くん…そんなことしてたの?」
長谷部「ち、違う!あれに深い意味はなくてですね…」
あの猫か犬か狸かもわからない落書きをするほどに長谷部は精神的に参っていることは痛いほどよくわかっている。
疲労が溜まりに溜まって自分が疲れていると自覚できないほど麻痺してしまっているのなら重症だ。
「それに……短刀ちゃん達からの報告ではやたら柱にぶつかっていると…」
長谷部「あ、あれはですね…一つの訓練でして」
どんな訓練だ。
「長谷部には感謝しているし長谷部以上に適任な近侍は…いないことはないだろうけど少なくとも今はいないから長谷部が十分にお休みできたらまた頼らせて欲しいな、なんてダメかな…?」
長谷部「主……俺のことをそこまでッ」
うっ、と涙ぐんで顔をそらす長谷部に一応、最悪な事態にならなかったことにほっとするが無理に近侍を変えたことには少なからず傷ついたはずだと思うと胸が痛んだ。
自分がしたことなのだから私に傷つく資格なんてないけど…なんだろう。
苦い……いや、まだだ。
まだいける。