第48章 甘えられる人
「あの、封印ってどうやって…」
燭台切「それ、ほしいな」
彼の発言に固まる私。
「……え?な、何するんですか」
燭台切「惚れ薬と言ったって身体が火照るだけだと思うよ。プラシーボ効果が働いて惚れ薬だから自分はこの人を好きに、ってなるだけだよ…多分」
「プラシーボ効果って言っても……」
惚れ薬ってこと知らなかったら効果がないのでは?
「でも、身体が火照るというのは同感ですが、惚れ薬なんて何に使うのか教えてくださいますか?」
燭台切「みんなが食べる料理に混ぜようかと思ってね」
ね?っとウインクされても聞かされた私には地獄絵図のようなものを想像した。
惚れ薬を単純に考えてしまえば一目見たら惚れるってわけだし、みんなの食べるものに混ぜるなんて……。
「まあ、いいです。どうせ冗談でしょうから…悪用しないでくださいね?驚きを与えてくれる鶴丸さんに仕返しくらいに留めておいてくださいね?」
燭台切「鶴さんに何かされたの…?」
まあ、いろいろと。
パンツを頭にかぶられたことは根にもってないですよ。
私は心が広いですからね。
燭台切「でも…主に使うっていうのもいいかもね?」
「は、はい!?」
まさかの発言に私は驚いてしまう。
こういうところが怖いんだよ。
恨みとか殺意とかだったなら納得だけど、そういう誤解させるような言葉を言われると変に意識してしまうのだ。
清光やまんばちゃんや、ここの刀剣男士はみんな女の趣味悪いよ。
頬に手を当てて顔の火照りを冷ましながら、ふと前から誰かが歩いてくるのがわかり、私は……
「は、長谷部…」
顔が青ざめた。
や、やばい……近侍変更の件、まだ本人に伝えてない。
長谷部「あ、主!」
人懐っこい笑顔で私のそばまでくる長谷部だったが隣の燭台切さんの姿に表情が変わる。
「こ、こんばんは…長谷部」
ちゃんと近侍変更の件を伝えないと今日も徹夜しそうな予感がするから今伝えないといけないのはわかっているのだが……伝えるのに勇気がいる。
捨てられた、とか思われたらと思うと胃が痛むな…。