第48章 甘えられる人
燭台切「……君はすぐ我慢するね」
「が、まん……?」
燭台切「疲れたら僕のところにおいでって前に言ったでしょ。僕の前では無理に繕わなくていいんだよ」
疲れたら?
私は疲れているのだろうか。
燭台切さんの言葉に不思議に思ってしまったが、ずっと本当の意味で休めたことがなかった気がする。
いつも何かしら考えて行動しては、そこでまた考えて…。
疲れた、なんて考える余裕すらなかったから疲れていても無意識にごまかしていたのだろう。
「……でも、身体は動きます。まだ頑張れる」
燭台切「身体の疲れもそうだけど、それよりも心が疲れてるんじゃないかな?」
「心が……?」
燭台切「頑張る。主らしく、今度こそって主はずっと休めてないでしょ?無理に笑って自分を抑え込んで我慢ばかりしているよ……そんなことじゃいつか我慢の限界が来て倒れてしまうよ」
ぎゅっと抱き締めたまま頭や背中を撫でてくれる燭台切さんに異性に抱き締められたときめきよりも癒しが勝って力が抜けてしまう。
温かくて、いい匂い……。
「甘やかしちゃ、いけませんよ……また、弱くなっちゃいます」
燭台切「いいよ弱くなっても」
「……た、たくさん困らせてしまいますよ」
燭台切「いいよ。それで君が元気になるのなら」
「……後悔、しても知りませんよ」
燭台切「しないよ。僕が好きでやっていることだからね……僕に甘えてよ主」
あぁ、本当に……彼らは優しすぎて困ってしまうな。