第47章 怒られた
「ありがとうございました」
「ふぅ、美味しかった……甘みは足りなかったけど満足です」
宗三「ちゃんとお金をもっていたんですね。無銭飲食でもするかと思ってましたよ」
「無一文でお店に入りませんよ……まあ、お財布のなかがピンチであることは確かですけど」
宗三さんがいるのにそんなことできるわけがない。
一人でもしないけど…。
お店から出ると私たちは本丸に帰るために歩き出す。
それよりも今気になっていることがある。
餡蜜のことだ。
今いる場所は、パッと見、江戸時代といっても不思議ではない場所なのに餡蜜が店に置いてあることが不思議なのだ。
江戸時代ならば砂糖は貴重品で病人や身体の弱っている人に舐めさせる薬として使われていたはずなのでそう易々と使える品でなければ餡蜜なんて江戸時代にあったとは思えないものなのだ。
あまり詳しくはないがそういったものはだいたい明治辺りから食べられるようになっていたはずなので今いる時代に餡蜜なんてあるわけがないのだ。
ここが明治時代ならともかく……いや、明治時代でないというのは町並みからしても明らかであるのでつまりは……
「あの店がおかしいんだね……」
宗三「なに一人でぶつぶつ言ってるんですか」
「いえ、さっきのお店……ちょっと不思議だったなって。あんな歴史を無視した店があるのはよくないかと思ってみたり…」
宗三「それなら大丈夫ですよ。普通の人には見えない店になっているでしょうからね」
……ん?
「え、宗三さんなにか知ってるの?」
宗三「知ってますが、教える義理もないので教えません」
「教えてくださいよ!なんかモヤモヤしますっ…普通の人には見えないってどういうことなんですか!」
宗三「知りません。置いていきますよ」
「本当に置いて行こうとしないでください!」
よくわからないがとりあえず…歴史的には大丈夫な店、ってことかな。