第46章 頑張りたいのに

小夜「……ごめんなさい」


「…………え？」


小夜「兄様が……傷つけたみたいで」


……いったい、どのことを言っているのだろう。

会うたびに小姑のような姑のような感じで上からものを言うことがあったり嫌みったらしいことを言われたのも記憶に新しい。

だいたい会うたびにカチッと来ることを言われているが、心に傷を負うほどのことは……なかったとは言えないな。

でも小夜ちゃんが知っているとなると一番新しい、あの事だろう。


「……大丈夫だよ。勘違いして、ごめんなさいってしてもらったし……ショックだったのは確かだけどそれは仕方がないことなんだって理解しているつもりだから」


小夜「でも……あれから元気なさそうだった」


「うっ……」


たまに誰かに見られているなと視線を感じてはいた。

それは警戒するがゆえの誰かの視線だろうと気にもしなかったが……まさかあの視線、小夜ちゃんのものだったとは……ショタに影ながら見つめられるのも悪くない。


「……気にはしていたかな。みんなと仲良くしたいのに私が小夜ちゃんに危害を加える存在と思われてたなんて……」


小夜「……ごめんなさい」


「んー、謝らなくていいよ。仕方がないことだしそう簡単に信用されないだろうなとは思っていたから……」


清光も怖い思いをしていたはずなのに私を信じようとしてくれているけど、それは私のそばにいることが多かったから信じるに値する人と思ってくれたのだろう。

だけど宗三さんとはあまり話してないし、それで信用してなんて無理な話なんだ。

つまりは……


「うざいと思われるくらいお兄さんの後ろをついて回れば少しは私への印象が変わるよね」


小夜「…………」


ニコッと笑う私に小夜ちゃんは少し顔が青ざめていた。

鋼の心というものを身に付けないといけないし……うん、ちょうどいい。