第46章 頑張りたいのに
「ほ、ほらハチミツを飲む感じに……」
私はどこぞの赤い服を着た黄色いクマではないが、ハチミツを飲むのを想像したら飲めないことはない。
……甘ったるそうで飲む気失せるね。
惚れ薬には詳しくないが、一種の催眠的なものなのだろう。
つり橋効果のような……怖さでドキドキしているのを恋のドキドキだと勘違いして、みたいな。
「……もしかしたら、これはただの水でプラシーボ効果から惚れ薬と思って効果が、なんてこともないとは言えないけど、やっぱり怪しいな」
他の人で試すくらいなら自分が試すが……不安だ。
多分身体が火照ってドキドキするような興奮剤的な作用がありそうでなさそうで……
「……薬研くんを信じたいのに……薬研くんだからこそ何かあるんじゃって考えてしまう」
信じたい気持ちはもちろんある。
でもあの薬研くんだからこそ本当に惚れ薬を作ってしまった可能性がある以上、無闇に試すことができない私。
なぜ一本の小瓶にここまで悩まされなくてはいけないのかな。