第46章 頑張りたいのに
「さて、これはどうしようかな……部屋においていて誰かに飲まれたりしたら……うん、やめておこう」
薬研くんは真面目になにかを作ると言って、多分部屋に戻ってしまったが没収した小瓶に私は悩んでいた。
薬研くんも大人……作られたのが昔だと考えると見た目はあれでも大人なのだから遊び心でも怪しい薬を誰かに飲ませるとは考えづらい。
それなのに私が没収したところで、どうするか悩むくらいなら没収するべきではなかった気がする。
「本当に惚れ薬だったとして……薬を飲んで最初に見た人に惚れるっていうのが王道だよね……」
正直、好かれたいとは思っているがこういうものを使うのはずるいので……なんか嫌だ。
薬というのは持続的に体内にいれないと効果はないと聞くし……使ったとしても一時のもので効果が切れたあと残るのは……
「……使わない方がいいね」
自分の部屋に薬を置いていても不法侵入した誰かが誤って飲みそうな感じはするし、かといって薬研くんが頑張って作ってくれたものを捨てるのは嫌だ。
なら……自分が実験台になれば薬研くんの役に立てるだろうか。
「……そ、そうだよね。薬なんて一時的のもので惚れ薬といっても効果が切れればなんてことはないし」
……惚れるにしたって誰に惚れれば。
安全な人なら……短刀達の誰かかな。
それなら多分安全だ。
惚れ薬じゃなく毒だったなら彼らにトラウマを植え付けかねないが……薬研くんを信じよう。