第46章 頑張りたいのに
「な、なんでそんなものを作って……」
薬研「大将に飲ませればおもしろ……いいことがあるかもしれないと思ってな」
「いや、なんで作るの……でも薬研くん、惚れ薬とは言うけどそれは成功しているの?誰かで試さないと効果があるかどうかわからないんじゃ……」
何事も試してみなければ成功しているのかどうかわかりはしない。
もしかしたら毒を作ってしまった可能性も……
薬研「だからこそ、大将が試せばいいんだろ?」
「……え、怖……薬研くん……毒を作ったかもしれないのに、どんな効果があるかもわかりもしないものを私に飲ませて試そうだなんて……私のこと嫌いだったの?」
笑顔が素敵な少年は、私に意味のわからないものを飲めと勧めてくる。
どこかで聞いたことがある話だな……。
薬研くんの腕前とやらがどんなものかわからないがなんとも不安だ。
「……でも薬研くんが作ったものだし……信じてみるのもありかな」
薬研「……本当に毒だったならどうするつもりなんだ?」
「毒だったなら、か……それは困るね。私が死んだらあなた達のことが心配で死ぬに死ねない……私はあなた達を幸せにするために審神者になったんだもの。何もできてないのに死ぬことはしたくないな」
正直、あの時死のうと思っていたのを引き留められ役目を与えられて生きてはいるが死のうかな、と思っていたときの感情は残っていたりはするのだ。
ただ私には役目があるから忘れようとしているだけで……でも不思議だ。
あの時の私は本当につらくて生きている価値もないと思っていたけど……親に期待されず無視されて学校でもいじわるをされて頼れる人もいなかった。
いじわるといっても私物にいたずらをされるだけで他に何かあったわけでもないのに、死にたくなるほどつらかったのだろうか?
親だってほとんど家にいなかっただけがつらかったの?家にいないのなら楽じゃない?
え……なんで私……死のうとしてたの?