第46章 頑張りたいのに
歌仙「きみは甘えすぎだよ」
「ふへ……」
歌仙「一生懸命にやっているのは認める、けど長谷部の力を借りてのことだろう?それが悪いとは言わないけど手伝ってもらっていながらもいまだ成果が出てないのは力不足なんだと思うよ」
頬から手を離されると歌仙さんのお説教らしきものを聞くことにした。
不思議と煩わしいとか感じないのよね……。
「力不足なのは……認めます。いまだに長谷部の力を借りないとなにもできないのも確かですし……」
歌仙「……無理をしろとは言わない。けどいつまでも後ろ向きでいたって前には進めないよ」
「後ろ向き……やっぱりそう見えますか……うまくできないんです。うまくやらなきゃと思えば思うほど空回りして失敗して……」
歌仙「昔から言うだろう失敗を恐れるなって何事も挑戦してみなきゃわからないこともたくさんあるからね」
挑戦、か。
そう言われると長谷部に言われたことをしていて自分で新しいことに挑戦しようなんて考えたことなかったな。
いつもうまくいかない、って嘆いては何もできていないのなら失敗を恐れないでやりたいようにやれば案外うまくいくのかも。
「歌仙さん……私、挑戦してみます!審神者の仕事は相変わらずだしみんなの幸せのお手伝いも全然できてませんが……自分らしくしようと思います」
怖がったり顔色を伺ってすることでもないのだ。
自分らしくやりたいようにやって失敗したなら……そ、そのときに考えよう!
「歌仙さんってもっと雅ーって、感じがしましたけど結構熱いというか……世間話をするおば様みたいですね」
歌仙「おばっ……」
「あ、そろそろ戻らないと……それじゃ、オムライスごちそうさまでした。今度はたこ焼き、作ってくださいね?」
胸につっかえていたような、重りを外したかのように気が楽になるとご飯も食べて満たされたのでいつものようにやるべきことをしようと歌仙さんに手を振って食堂から出た。
食堂の方からなにか聞こえるが……まあ、気のせいだろう。