第46章 頑張りたいのに
歌仙「……きみは、何度言っても時間通りには来ないしやっと来たと思ったらだらしない格好だったり変な格好だったり……」
「ちょ、ちょっと待ってください。私は別にお説教……小言を聞きたいのではなく……」
歌仙「……まあ、今はそれは置いておくよ。きみは仕事に夢中になりすぎて朝や昼に食べないでいる……仮にも主なのだから何も食べさせないわけにはいかないだろう」
…………?
結局何が言いたいのだろう。
歌仙さんはどちらかと言えばオブラートというものをどこかに捨ててきたみたいにストレートにものをいうところがある。
こんな、何が言いたいのかわからない言い方はしないはずなのだが……
歌仙「……きみ、ちゃんと意味わかってるのかい?」
「いえ、まったくこれっぽっちも」
歌仙「きみって子は…………心配、なんだよ。いつもなにかをしては失敗しているきみだけど何も食べなければ空腹で倒れてしまうことだってある……きみは自分の限界に気づかず無理してしまいそうだからね」
心配……。
歌仙さんの言葉を聞いてどういう意味なのか理解できたが……ちょっと照れる。
食事のことで心配されるとは思わなかった。
忙しいときや食べるのを忘れたときには歌仙さんか燭台切さんのどちらかが部屋までご飯を運んでくれたりするが、手が離せないほどのことをしていたら食べる時間も遅くなって朝食として持ってこられたものが夕飯になってしまうことなんて多々あった。
まさかそんな状態の私を心配してくれていたなんて……嬉しい。
「ありがとうございます。今後は気を付けますね」
これ以上、歌仙さんに心配かけたらバチが当たりそうだし、最近では一段落……なんてことはないけど少しは仕事にも慣れてきたし今までのように遅刻やご飯を抜いたりは……。
ない、と断言できないのは仕方がないよね。