第46章 頑張りたいのに
「ではいただきます」
なぜオムライスに箸なのかわからないが、食べられないわけではないのでいただくことにした。
一口サイズにする前からもう……とろとろしているのには気がついていたが、雑誌の写真一枚でとろとろなオムライスを作れるだなんて、さすがだ……。
歌仙さんは家事が得意なんだろうとは気がついていたけど、料理スキルが高すぎる。
でも見た目が綺麗でも味が、なんてことがないとも限らないので食べてみると……完敗でした。
「歌仙さん……いつでもお嫁に行けますね」
歌仙「きみはたまに意味のわからないことを言うね」
はっきりと言って……美味しい。
卵はふわふわでとろっとろだし、ライスの方も濃くもなく薄くなくとちょうど良い味付けだ。
何度も研究して作っていた私よりも歌仙さんの方が美味しくできるだなんて女子として悔しくはあるが料理人って男子が多いとも聞くし、なんだか納得だ。
前でじーっと見つめてくる歌仙さんの視線に耐えながらも食べ進めていけば少しして完食し、手を合わせてごちそうさまをした。
「とっても美味しかったです!」
歌仙「それはよかった……うん、今日も綺麗に食べているね」
お皿を見てそう言う歌仙さんに首をかしげる。
出されたからには綺麗に完食するのは当たり前なのでは……いや、そんなことよりも。
「あ、あの歌仙さん……なんで今日は……残り物じゃなくわざわざ作ってくれたのですか?残り物がなかったとしても歌仙さんがここで私を待つこともなかったかと思うのですが……」
そう、私が気になっていたのはそこなのだ。
みんなが食べてしまって残り物がなかったとしても歌仙さんは私を待つ必要なんてないはずなんだ。
なかったらないで諦めるつもりでいたし。