第46章 頑張りたいのに
その後、私は歌仙さんに言われて椅子に座ってオムライスができるのを待っていた。
こんなにも広い場所に一人って……こわ。
「……よく考えたら、ここって前の審神者が色々考えてできた場所なんだろうな……」
食堂の場所や家具とか、お風呂や庭だって審神者一人で考えたことじゃなくとも思い出のある場所なんだと思うと……特別に感じられる。
きっとここにいた審神者はみんなが大好きな暖かく優しい……女の審神者だったはずだ。
必ずしも女とは限らないけど……なんだろう、なんとなくそんな感じがする。
それで、その審神者はみんなに好かれていたんだ。
……私とは違って。
誰かと比べるものでもないけど、私は……何がしたいのかな。みんなと仲良くなりたいし幸せになってほしいとも思うし……自分が迷子になってるみたいで情けないな。
歌仙「主、何してるんだい?」
「……いえ、別になにもしてませんけど」
どうやら出来上がったようで歌仙さんが声をかけてくれると私はそちらに視線を向ける。
すると前にオムライスが乗ったお皿を置かれて……
「…………オムライスだ」
歌仙「きみが食べたいと言ったからね」
「……ケチャップでハートとは……なかなかのセンスで」
歌仙「っ……そうするものだと書いてあったからそうしたまでだよ」
つまりは料理本などを見たのだろう。
でも料理本を見たからといってここまできれいにできているなんて、さすがとも言える。
私もオムライス作りに挑戦をしたことはあるがなかなか難しくて卵をやわらかめにしたら破け、固くしたら……オムライス感がなくなりと結構失敗を繰り返していたから歌仙さんの器用さにはさすがだと拍手を送りたくなった。