第44章 変態でした △
「これは……結構嬉しいことですね」
今まで私の赤い目を見た人は、そういう気分にさせられていたみたいだけど効果がなくなったのならそれは本当に嬉しいことなのだ。
私自身も赤い目になることで熱くてたまらなかったのが今はそれがない……つまり、赤目になるだけで困ることは何もないのだ。
嬉しくてにやけてしまいそうになるのを抑えながら燭台切さんを見る。
「早く帰りましょうか。清光が待っているかもしれませんし」
燭台切「……うん、そうだね」
目を閉じなくても歩けるので帰ろうと歩き出そうとすると燭台切さんに手を握られる。
「……あの、もう大丈夫ですので……」
燭台切「主はすぐ迷子になりそうな感じがするから念のためね」
「あ、心が傷ついた」
迷子になんてならないのに……なんて思うが本当に迷子になりでもしたら一人で帰れる自信がないので手を繋いだままでいることにした。
手袋越しでも彼の温もりが感じられて……なんというか……安心する。
誰かと手を繋いで歩くというのは……慣れない。
嫌ではないし嬉しいとは思うけど、小さい頃から私の手を引いて歩いてくれる人はいなかった。
母も幼い頃は私に期待をしてそれなりの優しさを与えてくれたが、他の子よりも優れているものなんてなくてそれは成長しても変わらず母の私を見る目が変わったことに気づいてからは……私は諦めた。
まるで汚いものを見るかのような目で見られて、父からははじめから何も期待されていなかったようにも思えた。
それでも少しでも……ほんの少しでもいいから見てもらいたくて言われたことを一生懸命にし、テスト範囲などは何がなんでも記憶してテストに挑むとなんとかいい点数はとれたがミスがあるだけでため息を吐かれた。
どんなに頑張っても誉めてはもらえない、見てもらえない……あの人たちに私は何を期待していたんだろう。