第44章 変態でした △
燭台切「これでよし……戻ったら薬研くんに診てもらうんだよ?」
「はい……」
燭台切さんは胸元をはだけさせて傷などがないか心配して見てくれた。
いや、こんな薄暗い場所に連れてこられてそういう展開を想像してしまった私が悪いんだけど……まさか、先程私が胸元に爪を立てていたのを気にしていたとはいえ外でこんなことされるなんて誰も思わない。
ましてや紳士的おかんの燭台切さんが、だ。
燭台切「傷がないか気になったけど赤くなっているだけでよかったよ」
「……ご心配してくださって嬉しい限りなのですが……お外でいたいけな少女の服を脱がそうとした燭台切さんの行動は危ないと思います」
燭台切「それはごめんね……主の爪、長いから肌を傷つけたんじゃ、なんて考えたら気になってね」
爪切りというものがないので長くなってしまったが……そこまで長くはない、気がする。
でも薄いとはいえ服越しだったし、燭台切さんともあろうお方が爪程度でどうにかなると考えるものなのだろうか……
「……他に、理由が……」
燭台切「ん?」
「……いえ、ここにいても仕方ないですし帰りましょうか」
燭台切「それはいいんだけど……主、目が……」
「眼球がどうかしましたか?」
燭台切「そんな平然と眼球とか言わないの。ほら赤くなって……」
赤く、と言われて私はすぐさま目元を手で押さえた。
発情とかしたときに変わるとする赤い瞳になっているなんて気づかなかった。
いつもなら身体が熱くなって近くにいる人に迷惑をかけてとんでもない事態に発展しかねないのに今はそれがない。
別に燭台切さんに触れてほしいとか考えてな……先程の想像はノーカウントだ。
「すいません……私のことはいいのでお先にお帰りください」
燭台切「そんなことできるわけないでしょ……ほら、帰るよ」
目を覆っていたが、腕を掴まれると反射的に後ずさる。
「わ、私の目を見た人はいやらしい気分になるそうなのでダメです!いやらしいどころか魅了されるらしいので!」
燭台切「へぇ、そうなんだ。じゃあ帰ろうね?」
「いや、話聞いてましたか!?」