第43章 店主
燭台切「主は謝りすぎだよ。悪いことをしていないのにずっと謝るのは……」
「わ、悪いことをしたので謝っているんです。それにそんなに謝ってない気が……」
そんなに謝っていただろうか?
今日のことだけを言っているわけではないのなら……まあ、結構謝っている気がする。
申し訳ない気持ちでいっぱいになると謝ってたから……。
ひりひりしている頬を優しく撫でながらも燭台切さんをみると、やはりいつも通りだ。
いつもの優しげな燭台切さん。
「……さっきはちょっと……驚きました。私のために怒ってくれるなんて思ってもみなかったから……」
燭台切「君が頑張っているのは知っているからね。毎日、長谷部くんに手伝ってもらいながらも夜遅くまで何かしていたり、心のケアってのをしようと話しかけていたり……子供たちと遊んだり」
「……器用ではないのでなかなか思うようにはできてませんけどね」
理想としては何でもそつなくこなせるようなかっこいい審神者になりたかったりもするが、簡単にそんな風になれたならブラック本丸なんて存在しないだろう。
みんなが優しいから、ある意味甘やかされているような状態ではあるのでいつまでものんびりとはしていられない。
不器用なりに努力して慕ってもらえる審神者にならなくては!
「燭台切さん、私頑張ります!」
燭台切「そ、そう?頑張ってね。あ、そうだ……ちょっといいかな?」
「あ、はいなんでしょ……え、あの……」
燭台切さんに手を引かれたのでとりあえずついていくも向かっている先は……薄暗い、人がいなさそうなところ。
い、いや……近道とかでこういう道を通るだけで……こんな場所に用があるわけが……
そう思っていたが燭台切さんは立ち止まってしまう。
その先には道はなく行き止まり。
唯一の道は今私たちが通ってきたところだけ……
「あ、あの燭台切さん……ここに何か……」
燭台切「主……ごめんね」
謝ったかと思うと燭台切さんは私の着ている服に手をかけてきて……な、何事!?