第43章 店主
あの店から出たあと、私たちは何も話すことなく歩いていた。
今は殺気は感じられなくても、心穏やかでないのは顔を見なくても感じられて声をかけることすらできずにいる私だったがこういうところがダメなんだと思うと、私は歩くことをやめた。
「ッ……あ、ありがとうございました!」
燭台切「……?」
きょとんとした顔でこちらを見る燭台切さんの顔はいつもの優しげな顔に戻っていてほっとした。
自分が怒られたとかではなくても近くで見ていたから気まずかったりもする。
「……店から、連れ出してくれて……感謝してます。あのままあそこにいたらいろんなことを言われていたでしょうから……」
学生時代の時は、あれくらいの言葉……なんてこともなく聞かなかったことにして忘れるくらいのことをしていたはずなのに、私は弱くなってしまったようだ。
燭台切「ごめんね……普段は普通にいい人なんだけど……」
「審神者に何かしら思うとこがあるのだと思います……私はよく知りませんが……審神者が気に入らないって思う人はいるとあの人に聞いたことがありますので」
気分転換のために堀川君が気を利かせてくれたというのに……燭台切さんに嫌な思いをさせてしまったな。
「今日はごめんなさい……燭台切さんがよく行く場所なのに私のせいで行きずらい雰囲気を作ってしまって」
燭台切「……主」
「あ、はい……ッ……!?」
燭台切「謝るの禁止」
申し訳なくて下を向いていた私だったが呼ばれたので反射的に上を向くと……頬を摘ままれた。
え、痛い。
「い、いひゃいれふー!」
燭台切「痛くしているからね?」
いや、なんで!?
ずっと優しかったのにいきなりSになるとか本当に何事!?
燭台切さんの気分的なものなのかはよくわからないがやっとこそ離してもらえたときには私は疲れていた……。
ほんと、痛かった……