第43章 店主
「あんたみたいな偽善者な審神者なんていっぱいいるよ。自分だけが救える自分は特別なんだ自分が……刀たちを幸せにできる」
「っ……!」
「ありゃ、図星かな?口ではそういうけど、本当は刀達を救いたいわけでも幸せにしたいわけでもない……自分が、救われたい、幸せになりたいんだ」
また、苦い。
ブラックチョコレートよりも苦くて気分が悪くなりそうだ。
怖い、痛い、気持ち悪い、喉が熱い。
鼓動が早くなっていくのが苦しい……。
私は胸元を爪を立てるようにしながらその苦しさを別の痛みで塗り替えようとした。
服の上からでも薄いために爪を立てることで、痛みを感じられて苦しさがだんだんと痛みに変わっていく。
大丈夫、私は大丈夫なんだ。
「……よかったね。あんたが幸せになるための《道具》ができて」
「っ!」
耳を塞ごうとする前にぐいっと腕を引かれてバランスを崩しそうになると反射的にそのまま腕を引いた燭台切さんにしがみついてしまう。
いきなりだったし、何より彼に口で攻撃されていて反応が遅れてしまったがどうしたのだろう。
気になって顔をあげるといつも優しく笑いかけてくれる笑顔はなく、燭台切さんから怒りの雰囲気を感じた。
怒りだけじゃ、ない……ピリピリと身体に痛みを感じるくらいの……殺意。
「……みっつー、隠すつもりはないんだろうけど……そんなあからさまだとその審神者が怖がるんじゃない?」
燭台切「悪いけど今日のところは帰るよ。主、行くよ」
「え……ッ……はい」
腕を引かれて店から出る前に、彼のことを見たが……笑っていた。
あの人と似たものを感じるな……