第43章 店主
「はぁぁ」
堀川「ずいぶんと大きなため息を吐いて……幸せが逃げそうでとても迷惑なのですが何かありましたか?」
「グサッと来るようなことを言いながら聞いてくるって……それ傷つけたいの?」
堀川「嫌ですねー心配しているんですよ。一応」
本当、この子……私に冷たくないかな?
堀川くん自体がこういう性格なのかもしれないけど……
宗三さんから殺意のこもった目で見られてから早くも一週間が経とうとしている。
その間、黙々といろんなことをした。
当番のために小さな板みたいなのに一人一人の名前を書いてみたり、燭台切さんのお手伝いをしたり馬当番を手伝ったり普通の手入れをしたり……本当、平和に過ごして何の変化もないのだが……
「ガラスのハートにヒビが入って直らないの……」
堀川「それは取り替えるか、割るしかないですね」
「取り替えられるかな……?」
堀川「取り替えるなら、そう簡単には割れない鉄の心にしたらいいと思いますよ」
「そうだね……」
そう、あの日……私は意外とショックを受けたのだ。
小夜ちゃんが、手入れをしてもらっていただけということを話すと安心したようにしたあと私に誤解したことを謝ってくれたが……誤解、されたのだ。
私が小夜ちゃんに何かしようとしたのだと。
前任の件もあるので兄である宗三さんが警戒していても不思議ではないのだが、私が前任のように傷つけるタイプの人間と思われたことが……悲しかったのだ。
そんなに話してもいないから、それで信じろというのは無茶な話だし、私も理解しているから無理に信用しなくてもいいとは思ってはいるんだけど……