第42章 訪問
「そんいや、日誌では関係的なもんは順調って書いてたけど実際どうなん?」
「実際も何も私は事実しか書いてませんよ?」
「んー、もっとこう……詳しいのほしいんよなぁ。最初は誰がどーでこーでって書いてたんが最近あれや。今日も順調、ってお前絶対めんどくさくなっとるやろ」
「……小夜ちゃんはかわいーね」
小夜「……」
こいつ何言ってんだろう、みたいな困惑した表情をする小夜ちゃんの手を握りながら小さく笑いかけると、ビクッと身体を震わせたので驚いてしまった。
え、私の笑みって怖いのだろうか……最近彼らと過ごすようになってから表情筋的なものが柔くなった気もしたけど……まだ固いのかな。
そう思って小夜ちゃんの手を離してから自分の頬をむにむにしていると廊下の方から誰かが走ってくるような音が聞こえた。
いや、小走り、かな……?
宗三「お小夜っ!」
小夜「兄様……?」
誰だろうと思ってみていたら宗三さんは部屋に入ってくるなり私を突き飛ばすようにして小夜ちゃんに抱きつく姿にブラコンなのだろうか、なんて考えてしまった。
「だ、大丈夫ですか?」
「あー……はい、大丈夫です」
突き飛ばされても特に気にせずに起き上がると助手……部下の方に心配された。
まあ、いきなり突き飛ばされたのを見たら動揺するか……。
宗三「小夜、大丈夫なんですか?」
小夜「う、うん?……大丈夫」
どうやら宗三さん、江雪さん、小夜ちゃんは左文字派の刀工がお打ちになった刀のようなので三人は左文字兄弟なのだとか……
パソコンでちょっと、ほんの少しだけ調べました。
兄弟が仲がいいのは良いことなんだろうけど……ブラコンか。
「あの、宗三さん……急いでいたようですけど、何かありましたか?」
宗三「ッ……近づかないでください」
「え……」
用件を聞こうと近づこうとすると、殺意の込められた瞳で見られ、ぞわっとしてしまう。
何で、そんな目で見るの……?