第42章 訪問
「あ、あの石切丸さん……怒ってますか」
石切丸「ん?何でそう思うのかな?」
「いや、だって……」
何でだろう。
石切丸さんは笑顔を浮かべているが怒っているようにも感じる。
悪いことは多分してないはずだが……多分。
石切丸「だって……何?」
「ん……ッ……」
唇を指の腹で撫でられるように触れられるとくすぐったくて声が漏れてしまう。
見た目は神聖な感じがするというのに存在が……やらしいと感じるのは私がおかしいのだろうか。
石切丸「付喪神と言ってもちゃんと、この小さな口で言ってくれないと私にはなにも通じないよ?」
「ッ……雰囲気が怒ってる感じがして……間違えてたらごめんなさい」
「……怒ってはいないよ」
怒って、は?
ならなんだというのだろう。
怒ってないのなら気分を害してしまったのだろうか、それとも他の……
優しく微笑みながら見つめてくれるが、藤色の瞳を見ていたら不安な気持ちになってしまいそうになるため、目をそらした。
石切丸「こら、目をそらさない」
「うっ……」
そんな無茶な。
身長差もあるのでずっと上を向かせられていると私の首が限界を迎えそうだ。
そのうちポキッと折れるんじゃないだろうか。
「そ、そのお美しい顔をずっと見つめるなんてこと私には難しいんです」
石切丸「褒めてくれてありがとう」
褒めてはいるけど……っ!
ずっと見つめていられないことを話したのに一向に離す気配もなく、私は恥ずかしさと首の痛さにもう苦笑いを浮かべるしかなかった。
「……なぁなぁ後輩よ。俺らなに見せられとるんやろ」
「さ、さぁ……?」
明日寝込みそう……。