第42章 訪問
「お茶です」
「ども……」
「お菓子です」
「これはご丁寧に……」
「…………」
「…………」
「……いや、なんか会話せんか!何他人みたいにしとるんや」
「何を言ってるんですか……あなたからしたら知ってる人でも私は初対面で他人にはかわりないんですよ」
「ですね」
あの恥ずかしい姿を見られたあとで何を話することがあるのだろうか……。
普通なら部屋に籠って出てこれないレベルだ。
清光は歌仙さんと後から来た長谷部によって連れていかれ、今は私と政府の人と知らない人の三人だけが部屋に残っていた。
「……では、初めまして。自分はこの人の補佐役としてそばに仕えている名を」
「そーいうのやめや!こいつは俺のお手伝いさんやって記憶しとーて」
「ちょっ!また!」
仲良さげにじゃれている二人を見ていると政府って……なんだろう、と考えてしまう。
もっと政府ってキチッとした人が集まる場所だと思っていたんだけど違うようだ。
「……なにかお話があるのなら用件だけ伝えて早くお帰りください」
「ん?冷たいなぁ……まあええけど。これのご挨拶と注意しにしたんや。自分演練どころか審神者の集まりにも出とらんやろ」
用件だけ伝えろとは言ったが、まさかの内容に目を背けたくなった。
演練のことは知っている。
知らない人とこんにちはをしてお互いの刀剣男士を競わせて?いや、高めあって?まあそういうことだ。
「……演練の件については……あれです。うちの子人見知りが……」
「それお前だけやろ」
「うっ……ひ、人と接するのにはまだ時間が……」
「いやいや何言ってんの」
演練に出たくないわけではない。
ただ私に一歩を踏み出す勇気がないだけなのだ。
人との関わりを絶ち、もう人とか変わらないぞ、って気持ちでこちらに来たのにまた人と関わるだなんて話が違うとすら思えてくる。
まあ、刀剣男士も『人』ではあるけども。