第42章 訪問
「それで、や。俺らはお前のサポートをしにきたわけなんで、困ったことなどあれば仰ってくださいませー」
相変わらず口調が落ち着かない人ではあるが、一応仕事できているのなら私もちゃんと答えるべきなのだろう。
困ったこと……人に話してまで何とかしたいと思ってるようなことは多分なかったはずだ。
みんなとの関係は私がどうにかするべきだし、わからないことも今はなかったはずだ。
「……あ」
「何かありましたか」
「なんやなんや!」
「……以前の…あの……本丸のことなんですが解体……いえ、潰しちゃいましたか?」
「……は?」
気になること、ひとつあった。
それは前の本丸のことだ。
最初はあのおんぼろの本丸をみんなできれいにして住もう、って話が新しい本丸に移ることになって何となく心残りがあるというか、気にはなっていた。
何が、とはうまく言えないけど気になる。
「前のというと……確か」
「もうおまんには関係ないところや。聞かれても答えんよ」
「む……」
政府の人の言い方にはさすがの私もムッとくるものがある。
本来、あのおんぼろ本丸で頑張るはずだったのをきれいな方にお引っ越しさせてもらったとはいえ一度はそこで頑張ると決めた場所なのだ。
気にするくらい、許してくれたって……
「か、関係ないなんてことないです」
「は?」
「一度はそこに住もうと決めた場所なんです。そんな場所が今どうなってるかくらい教えてくれたっていいでしょう」
「ふざくんな!おまんの家、本丸はここじゃ。過去の本丸のことなんぞ綺麗さっぱり忘れるもんやろ」
「忘れられないから聞いてるのになんで隠そうとするんですか!やましいことがないなら言えますよね?」
「じゃかましぃ!とにかく忘れろ」
「いーやーでーす!」
「あのふたりとも……」
「「今は黙って!」」
「……はい」
何がなんでも教えてもらわなきゃ……気がすまない。