第40章 愉快
「……あんた本当に……」
恍惚な笑みを浮かべて笑う不気味な存在に目を背けたくなる。
あの人は得体が知れないと有名な人だった。
あの人の補佐をするやつは、一週間でダメになると聞く。
俺が来る前にいたあの人を補佐していた女性はとても明るく前向きな人だったときいたけど……おかしくなったと聞いた。
何がどう、とは教えてもらえなかったけど……底の知れないあの人を見ていたら不安になる。何が楽しくてあんな風に笑えるのかわからない。
「っ……し、仕事してください」
「息抜きせな、進まんよ」
「ならコーヒー淹れるんでそれを飲んだら……」
「茶菓子もほしいなぁ……コーヒーによく合う甘いスイーツ……」
……この人はおかしい。
この人の担当する審神者達は普通のようで普通じゃない……そう、聞いたことがあった。
短刀が好き。
それだけなら可愛く聞こえるが短刀が好きというその審神者の短刀に対する愛が深すぎてついには夜伽まで……そのことがバレた審神者はいろいろあって、処分されたと聞いた。
美しいものが好き
あまりにも美しい彼らを結界のなかに閉じ込め本来の目的を忘れ色恋に溺れ……いや、そんな可愛いものではないか、情欲に溺れ身を滅ぼしたとも聞いたことがある。
新しい審神者の少女は……よく知らないが何かしらの問題はあるに違いない。
挨拶しにいったらって……簡単にいうが正直会いたくないな……
「新人はよしてーなぁ。コーヒー言うたらショートケーキやろ!」
「……はぁ、はいはい買ってきますよ」
俺、こんなとこでやっていけるのだろうか……。