第40章 愉快
~数日後~
「はー……ほんまかわええなぁ……この女優はん」
「またその子ですか……まあ、かわいいと思いますけど」
「やろやろ、せやろ!」
「そんなことよりあの子のことはどうしたんですか?」
「……はぁぁ、お前ここに来てから一週間程やのに妙に馴れ馴れしいな」
「あんたが堅苦しいのはやめろって言ったんだろ……」
「あー言えばこー言う……ほんまかわいないな」
俺の補佐をすることになった新人、名は知らん。
聞かんかったの俺やし、知らんのはええんやけど……まあ、生意気で……反抗期の子供みたいなんよなぁ。
「あの子ってあれやろ……どの子や」
「あんた、自分の担当審神者の存在も忘れたんですか……」
「お前なぁ……俺が担当する子、10人以上はおるんよ?どの子かわからんわ」
ま、10人以上おっても……連絡とってるのは一人だけやけどな。
「俺は姿も見てないんでよく知らないんですけど……あの、ブラック本丸の審神者になったとかいう……」
「元気しとるよー?お前、どうせ俺の補佐官みたいやし挨拶しにいったら?かわええぞぉ」
「まあ、それはいつか……あの、噂で聞いただけなんですけど、すごい気に入ってるらしいですね。その子彼女なんですか……?」
「は?いやいや彼女なんていうたら……どこぞの御神刀に斬られるやろ……」
あの笑顔の裏に隠された執着、依存……真っ黒な感情を持つ神刀なんぞ、見たことないわ。
まあ、本来処分されるところをお咎めなしにしたんは俺やけど……命の恩人やのにあんな殺意向けられるなんて、悲しいことやわ。
「けど……あの目、狂気を感じられてゾクゾクしたなぁ」
うっとりとする俺に引いたような視線を向けてくる補佐青年。
そんな目で見んなや……ゾクゾクするやんかっ……