第39章 吸血
「……噛むって、どこを噛むのかな……?」
加州「どこでもいいよ……?主の細くて綺麗な手首でも……白くて美味しそうな太もも……首筋なら痛みも少ないかな?でも……ここも魅力的だよね」
すすっと指で首を撫でるとそれを下に下げて胸元で止まると指で軽くそこをトントンとされる。
噛むといっても加減による。
甘噛みならどこでもいい……くすぐったいで済むだろうし、でもそれがガチのものなら……下手したら死ぬ。
首筋なんてとんでもない。
「か、噛むってどの程度の力、なの?」
加州「軽くチクってするくらいの力だよ。ほらこれを刺すだけ」
薄く口を開け牙を見せてくれる清光。
この子……牙なんてあったっけ……?
今まで口より顔を見ていたから気づかなかっただけであったのかもしれないが……まるであれだ。
外国とかにいたという血を吸う種族みたいだ。
いや、噛むだけって言ってるし血を吸うとは言ってない……
「……お好きなところにどうぞ」
加州「!ありがとう主」
先程まで泣き顔しか見てなかったから満面の笑みを見せられると眩しく感じてしまう。
清光はどこにしようかな、と悩んでいたがすぐに決まったのか私の服の肩のところを引くと首元を露にさせる。
首か……皮が薄いとは聞くから少し……うん、結構痛そうで怖いな。
加州「それじゃ、いただきます」
清光の舌が肩から首になぞっていくように動くのがわかる。
少しくすぐったい……。
不意に感じた固くて鋭い感触に身が強張る。
痛みが来るとわかっていて力を抜くなんてできるのだろうか……私が緊張しているのに気がついたのか優しい声で私の名を呼ぶ清光の声にぞくっとした。
脳髄が痺れて麻痺させてしまうような声に、不思議と力が抜けていくと途端に感じた痛みに自分の唇を噛む。
痛くない、なんてことはなく皮膚を突き破る痛みに注射よりも痛いものを感じた。
自然と瞳が潤み、声が漏れる。
耳元で聞こえる血を啜るような音に、吸血鬼のようだと感じながら私は目を閉じ終えるのを待った。
そういえば……なんで、血を吸われてるんだっけ……?