第39章 吸血
「清光は可愛いよ。可愛くて綺麗で優しくて暖かくて……素敵な私の刀。愛しい私の家族……そんな素敵な清光の主になれて私は幸せよ」
涙で顔をぐちゃぐちゃにしている清光を私はぎゅっと抱き締めた。
醜くなんてない、彼は私の大事な家族……何にも変えがたい愛しい家族なのだ。
「私の大好きな清光を醜いなんて言わないで。可愛くないなんてそんなことないもの……好き、大好き……清光、愛してる」
不安だった。
審神者に私がなれるのか傷ついた彼らを癒やし、一緒に過ごせるのか。
そんなときに最初に会ったのが立っているのも不思議なくらいボロボロな……加州清光だった。
彼が腕のなかで泣いてくれたから私は改めて頑張りたいと思った。
幸せに……笑顔にしてあげたいと思ったのだ。
加州「ッ……あ、るじぃッ……」
「泣かない泣かない……」
清光がこんなに不安になったのは私が原因だ。
清光は大丈夫だと勝手に思って彼に寂しい思いをさせた。だからこうなった。
寂しかったのならそれは今後寂しい思いをさせないよう気を付ければいい
加州「……ッ…主…」
「落ち着いてきたかな……?慌てなくていいからね……」
ぽんぽんと背中を叩いたりしていたら落ち着いたのか鼻声ではあったが話しかけてもらえたことが嬉しかったりした。
嫌われてるわけではないのはわかっていても私も万が一にも清光が私を嫌っていたなら、と考えたら悲しくてたまらないからね……
加州「……噛んでいい?」
「…………?」
加州「やっぱりダメ……?」
「え、いや……だ、ダメではないような気も……」
唐突に言われたこと。
噛んでいい、か……どこを?
キスしていいか、なんて鯰尾辺りが言いそうだから言われたとしても少し驚くだけで済んだだろうが、噛んでいい?とは予想外だ。
え、噛むって私食べられるの……?