第39章 吸血
「清光……ッ…今までどこにいたの!誰に聞いても見かけてない、同室の安定くんに聞いても部屋に戻ってないって……心配したのよ?」
私はすぐに清光のそばまでいく。
姿を見なくなってから見かけた人はいないか最後に会った人は誰なのか聞いてみたりして私なりに探してはみたのだが……見つからなかった。
その清光がやっと見つかったのだ。
どこを探しても見つからないものだから私に愛想を尽かして出ていったんじゃ、なんて考えそうにもなったが見つかってよかった。
「どこも怪我してない……?」
清光の頬に触れようと手を伸ばそうとすればびくっと身体が震えたのがわかって伸ばしかけていた手をすぐに下げた。
怯えて、る?
「き、清光……?」
清光は俯いたまま私のことを見ようとはしてくれない。
怒りとか殺意とかそういうものは感じられないけど……なんだろう。
変な感じは、する。
「どうしたの……?ぁ、嫌なら触ったりしないから安心して……?」
怖い。
触れたら壊れるんじゃ、と思えるくらい不安定な感じがする。
私がしっかりしなくちゃいけないときにこんなおどおどしてる場合ではない。
とりあえず清光が怯えないよう手を引っ込めたまま触れたりはせず、近すぎても嫌だろうと思いそれ以上近づくこともしなかった。
「……ここ、冷えるから私の部屋……は、嫌かな……うん、どこか部屋に入ろう?」
ついてきてくれるか不安ではあったが私が歩くとゆっくりではあるが清光がついてきてくれるのがわかった。
姿を消してから清光の身に何があったのだろう。
こんなことなら数時間、会えないだけでも探していればよかった。
最近、彼らの感情のような何かが多少ながらも感じられるようになったのはよかったが今の清光は不安定で……こう、黒い何か……うまくは言えないけど、とにかく不安定ということだけはわかる。
私から無理に話さず清光が話すのを待っていた方が……
加州「……なつみ」
「あ、なに清……っ!」
話しかけられて後ろを振り返ろうとすると急激に右肩に鋭い痛みを感じるとそれは一瞬にして全身に痛みが走り抜けた。