第39章 吸血
噛まれた。
野生の獣とかではなく可愛らしい顔をした、我が家の子に。
一体何が起きたのかわからなかったが肩の痛みに顔を歪めるとあまりの痛みに早く解放してもらいたくて腕に力をいれると左手でそっと清光の頭を撫でた。
「っ……き、よみつ……どうしたの?お腹、空いた……?」
加州「っ!」
そうすることで驚いたように離れてくれたのでほっとするが、結構ガチで痛かった……薄いとはいえ服の上から噛まれたから歯形を残されたくらいかな……?
なぜ噛みつかれたのかわからないが、清光は泣きそうな……痛そうな顔をして何を言えばいいのかわからず混乱しているようだった。
「……清光、私は大丈夫だよ……ほら、ぎゅーってしよ……?」
私が両腕を広げて笑うと、なおさら混乱したように私を見つめてきた。
そりゃあ、噛まれた側の私がこんなんじゃ驚きもするだろう……普通の人なら突き飛ばしたりいろいろ言っていただろうし
加州「あ、るじ……っ」
「え、えっ……!な、何で泣くの!」
触っていいものか悩みながらも泣いてる子をほったらかしもできないのでゆっくりと近づいて離れようとしないのを確認するとそっと抱き締めると清光は我慢していたのか大声で泣き始めた。
そして強くしがみついてくるものだから今度は私が驚いてしまう。
私が泣かせたのだろうか……長らく清光と話してなかったし何かあったとは思うんだけどそれがなんなのかわからない。
私に噛みつきたいほど怒っていたのなら、ちゃんと話を聞いて謝るべきなんだろうな……どうしよう、骨が軋んでいる気が……い、痛い痛い。