第39章 吸血
「ふぅ……ぽかぽか……」
お風呂から上がると身体にタオルを巻いて少しぼーっとしていた。
のぼせる程、長い時間入っていたわけではないが考え事をしながら入っているとのぼせた時のようにぽけーっとしてしまう。
倒れるほどではないけど……座りたいな。
専用の椅子でも買おうかな……あれも欲しいこれも欲しいと言うのはタダではあるが支給されるお給金はみんなに配るのが優先なので私の手元に残る金額を考えても……贅沢はできないな。
光熱費とかどうなってるのか聞かないとみんなに配るお給金の額も……後日聞いておこう。
両親はほとんど……いや、大半いなかったから実質一人暮らしのようでも光熱費とか家賃とか考えなくて済んだが今はそういうわけにはいかない。
私がみんなを養う側なのだから、しっかりしなきゃ
「早く服着ないと湯冷めしそ…………あれ」
着替えの服を手に取ろうとしたところで思い出す。
長谷部と共にここに来るまで私の手には飴玉一つしか持ってなかったことを。
飴玉を包み紙で包むことしか考えてなかったから着替えの服を持ってくるのを忘れていた。
「……タオル一枚で歩いてるところを歌仙さんに見られたら正座でお説教を受けそう……」
どうしたものか。
なにかないかなと辺りを探してみるが……運よく見つけた。
「ラッキー……と言いたいけど、昨日までなかったものがあると本丸の妖精の存在が確かなものになってくるね」
どうやら着物のようなので有り難く使わせ……着ることにしよう。