第39章 吸血
「まさか分かれるどころか送ってもらうことになるとは……」
長谷部と楽しく会話をしていたら長谷部は大浴場には向かわずにそのまま私の入るお風呂場まで一緒に来てくれた。
うっかりしていたとはいえ長谷部を付き合わせてしまったのは申し訳なく感じながらも長谷部とバイバイした後、私は……お風呂に入っています。
「私が大浴場に入るのは、ある意味迷惑になりそうだから、ここがあってよかった……」
前の審神者が用意したのだろうけど審神者専用のお風呂なんてちょっと贅沢では……ないか。
大浴場に入って誰かとバッタリ鉢合わせした方が刀剣男士の迷惑になりそうだからね。
ここのお風呂も悪くないのだけど、ただ気になるのは……お湯とか誰がいれてくれてるのか、だ。
だいたい夕方に入るのだが、私の入るタイミングを考えて用意してあるなんて優秀すぎる。
これが噂に聞く本丸の妖精か……。
そうじゃなきゃこんなグッドタイミングで用意できるわけが……
「はぁぁぁ、溶けそう……」
まあ、誰がやってくれていたとしても感謝しなきゃね。
ゆっくりお風呂に入れるなんて私には贅沢なことなんだから。
「……今度入浴剤買おうかな」
みんなには悪いけど唯一の楽しみとして好きな入浴剤を買おう。
使ったことはないけど肩凝り疲労に効くものがあると聞くし買って損はないはずだ。
一人でお風呂に入っていると寛ぐことはできるがついつい色々と考えてしまう。
昔はシャワーを浴びるのも痛くて考えることなんてできな……痛く、て?
「……痛いなんて……何でだろう」
なぜだかシャワーを浴びることが痛みを伴うことだと考えてしまった。
何でかな……変なの。