第39章 吸血
「……よし、長谷部。今日もありがとう」
長谷部「いえ、これくらいなんてことないですよ」
「毎日本当にありがとう……」
自室までお酒を取りに行きすぐ戻ると既に酔っぱらっていた次郎ちゃんにお酒だけ渡して私は部屋で仕事をすることにした。
次郎ちゃんには悪いが酔っぱらいの相手はちょっとご遠慮願いたくて……ちょっと絡んでくるだけでもハイテンションな次郎ちゃんに構ってあげられるような陽キャじゃないからね。
あとはそのまま1日休むつもりだったけど、
なにもせずにゴロゴロしているのは性に合わず明日やろうとしていた仕事を先に片つけていたら……ポットと急須を持った長谷部が現れそのまま一緒にお仕事、ってことになってしまった。
近侍を変えなきゃ、長谷部を休ませなきゃって考えてはいてもこんなにも有能だと変えるのが惜しくなってしまうのだ。
でもいい加減休ませてあげないと。
「……長谷部。実はお話が……」
長谷部「なんですか?」
「近侍のこと、なんだけど」
長谷部「ふっ……大丈夫ですよ主。何を言いたいのか俺にはわかっております」
普通っていうのはわからないが、さすがの長谷部も近侍交代の時期っていうのはわかっているみたいだ。
よかった……これなら傷つけることなく話が進みそう……
長谷部「俺に一生近侍を頼みたいという話ですね!」
「え」
きらきらと輝かんばかりの瞳で見つめられるとさすがの私も動揺してしまう。
期待と喜び。
目を見なくとも感じ取れる。
こんなにも期待されているような眼差しを向けられて解雇通告みたいなことができるわけがない。
かといって肯定はできない。
一生近侍の約束とかできっこない。
傷つけずに平和的に解決する方法は……なさそう。