第38章 女子力ってなんですか
「本当に寂しいなんてこと、ないですよ。好かれている、なんておこがましいことは言いませんが少なくとも一人や二人は私を見てくれる人がいますから寂しくないです」
人というより刀、なんだけどね。
次郎「……主は、これからも審神者を続けていくのかい?」
「なんですか突然……続けていきますよ。この意思だけは何があっても変わりません。いつか役目を終えたときでも私はみんなの主として暮らしていきたい、そう思ってます」
次郎「……よしっ!それじゃ飲もう!」
「えー……」
よくわからないがきっと自分達を見捨てないかどうか見極めようとしていたのだろう。
そんなこと心配しなくても私はここにずっといるのに……ずっと、ね。
「さてと、お酒を飲まれるのならお待ちください。部屋から買ってあったお酒を持ってきます」
次郎「主、まさか内緒で呑んで……」
「私は飲みません。ネットで安かったものを数本買っておいたんですよ。まあ酒の味なんてよくわからないので美味しいかどうかは知りませんが……それではいってきます」
にこりと笑って部屋から出る。
誰のために買ったとかはないが念のため、お祝い事などがあった時用のお酒の補充用として買っておいたけど……また今度買おう。
お給金が入れば高いのを一本くらいは奮発して……うん、そうしよう。
部屋から出たあとは自室に向かいながらも周りを見ながら歩いていた。
静かで誰もいない……。
最近、私は歩く度に周りを見るようにしていた。
私はみんなに嫌われているかどうかわからないことが多々ある。
それでも少なくとも今は様子見ということで殺そうとしてくる刀はいないのだが、みんなの姿を見て話してみないと不安になることがあるのだ。
表面上は笑顔でいても内心では離れたいとか思われてたり……そういう不安。
だから、出陣や遠征以外でちゃんとみんながここ……本丸にいるのか確認したくて本丸内を歩き回るようになったのが二日前。
三条や粟田口、来派などスマホの刀帳を見ながら存在を確認しているのだけど唯一、一週間以上確認が取れてない……姿を見ていない刀が一振り。
「……どこ行っちゃったの……清光……」